北飯豊写真紀行*残雪の飯豊と花の彩を撮る

 北飯豊写真紀行2024年4月22日~23日

飯豊の写真を長年撮り続けてきた写真家のNojima Shunsukeさん、Toyamaさん達との写真紀行は4年目になった。2021年11月の初冬の撮影から始まって、以来11月初冬と4月の残雪期の2回、撮影のサポートに、北飯豊の会の有志と共に同行してきた。

彼らも又、頼母木小屋、門内小屋の維持管理、足の松尾根登山道の整備を任務とする北飯豊の会のメンバーである。初冬、残雪期は共に冬との境の季節であり、入山は厳しい条件になる時もある。穏やかな日和で柔和な表情の山より、厳しい条件下で山が見せる厳しい表情や、厳から穏に変化する瞬間等が、写真的には良い作品になることが多いのだろうと察するが、あとは天気と体力とその他の要素との兼ね合いだ。

彼らは、どんな天気の時でも陽の上がらない暗いうちから、快適な小屋から寒い風の吹く野外へカメラと三脚を持って出かけ、魅力的な瞬間に立ち会うため律儀に夜明けを待つ。


頼母木小屋、写真紀行のベース


朳差岳

頼母木平から三匹穴へ


2泊3日の紀行が本意だったが、嵐模様の天気の下山は避けたいため1泊2日の行程となった。
1日目は、雪面の照り返しがサングラスを通しても眩しく感じられ、温かい日和になった。
2日目、撮影を終えた後の下山路。前日はまだ蕾として目立たなかった樹々の花々が一斉に開花し、ブナの新緑も一斉に開き山へと昇りあがってきた。季節を辿るように、里に近づくにつれて萌黄色が濃く美しかった。



匂いこぶし(タムシバ)と朝日連峰




ハウチワカエデ、ムラサキヤシオツツジ、オオカメノキ、タムシバ、マンサク、クロモジ、チョウジザクラ、満開の木の花に心が躍るような下山路



ブナの花は雄花雌花とも、枝先で勢いよく咲き誇り、今年の豊作を期待させた。


頼母木小屋、北飯豊の会のメンバーによる水場の配管部品の取り付け作業
写真紀行の合間に、小屋の維持管理作業も欠かさない。

現場と想定の差異をなくす努力が必要だし、その差異を埋めるのは現場の人間の技術と知恵と手作業なのだと感じる。


頼母木平、早い雪解け、笹薮

暮れる

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元々、日本海側の雪国に生まれて、成長を求めての放浪の後、
やはり又、ブナと雪の在るところに好んで暮らすようになって、7年目の春だ。
毎年、ブナの芽吹きと自分の芽吹きは呼応していると感じられる。
芽吹きを待った残雪の期間が終わり、一斉に葉を広げよう。



出羽の2山*月山・湯殿山縦走*4月

 出羽三山の内、過去、未来を象徴する月山と湯殿山を1日かけて縦走した

姥が岳から湯殿山、石跳沢までは登山道がなく、稜線上は背の高い密な笹薮に阻まれるため、一般的には残雪期のみ辿ることのできる雪道ルート。

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姥沢の月山スキー場が4月12日から営業開始しているので、姥沢駐車場、リフトを利用すると、スタート地点のリフトの上駅は既に1500mの標高にある


月山の山頂に近づくにつれて、山の斜面には前日の雨霙が凍り付き、表層は氷状のエビの尻尾がびっしりと生えはじめた。
岩を覆う様々な角度から生えたエビの尻尾は、前日の厳しい気象条件を思わせた。
翌日の今日は微風で穏やかな天気。
アイゼンで一歩踏み出すごとに表層の氷が崩れ、風鈴のように涼しい音が鳴るので、
山頂直下まで、とても気持ちが良い登りだった

山頂に月山神社と鳥海山が浮かび上がる




次の目的は姥が岳から湯殿山へ続く稜線の縦走

姥と湯殿山のコルにて、雄大な斜面に囲まれたところ

湯殿山へ

時々藪をかきわける


姥が岳

クラックと藪のミックス

湯殿山へ

月山を振り返る



湯殿山を振り返る

石跳沢のスノーブリッジを渡って
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月山の山頂だけでは感じえない奥行きを感じ、別の角度から山の表情を眺め、
春の山は距離も容易く伸び、朝から夕へと一日山を闊歩することができた。
1週間前からさらに雪解けが進んだ山の変化は著しく、春へと動きだしている自然の躍動を雪の下にも感じる日だった

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車の回送についても快くご協力もいただき、ありがとうございました




木曽駒ケ岳*4月

2024年冬から春にかけては、週末ごとに天気に恵まれた雪山シーズンも終盤。

新潟から駒ヶ根までの道中も満開の桜の花を楽しみ、手軽にロープウェイを利用し、千畳敷カールを登り、木曽駒ケ岳で、4月の日曜日を楽しむことができた。

雷鳥と神社に手を合わせて、登山スタート



新雪の降る時期には雪崩の危険性に注意を要する千畳敷カールの雪渓も、4月きれいに締まっている。

宝剣岳と

これから控えている残雪期の山に向けて、アイゼンワーク、ピッケルワークも練習できた
千畳敷カールの斜面では滑落停止の姿勢も練習した


伊那前岳


宝剣岳、空木岳、南木曽駒ケ岳を臨む

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比較的手軽にアプローチしてしまう雪山ならではの危険性もあるし、
比較的手軽にアプローチしてしまう雪山なのに、素晴らしい展望と体験を与えてくれる山でもあり、だからこそ楽しめて練習できる場もあった。
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3名とも木曽駒ケ岳は初めての登頂とのことでしたが、
「また来たい山です」「また来ると思う」「今度は他のルートでも」
言葉の端にこぼれる感想と展望をお聞きして、今日来て良かったと嬉しく感じました



帰りもお花見と春眠を誘う遠い帰り道でした

西俣の峰から北飯豊*北股岳と山の3日間

 2年前2022年4月5~7日にかけて行った山行と同ルート、同行程で企画した北飯豊の雪山3日間。

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2022年には、天気は良かったものの強風に阻まれて、中日は地神北峰を超えることができず、飯豊主稜線上、頼母木小屋直下での雪洞づくりと泊まり体験として、予定変更にも拘らず天上での豊な時間を過ごした記憶が今でも鮮明に心の底にゆらりと横たわっている。

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昨冬からご一緒し、2シーズンの雪山をこなし力を付けたメンバーと、2年前参加した方も再び参加してくれた。4月の北飯豊を避難小屋ベースに2泊3日過ごす時間は本当に贅沢だ。これも胎内・北飯豊の会の協力のおかげである。

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1日目。西俣の峰から頼母木小屋は遠い。
一日かけてゆっくり、たどり着けば良い

頼母木小屋の水場の沢と朳差岳

朝の時間。優しい色合い、静かな時間

2日目、今年は穏やかで良い天気に恵まれたので、予定通り北股岳を往復することができた。

二王子岳から門内岳への稜線を臨む

北股岳

門内沢

門内に向かう

北股岳から

大日岳

最終目的峰の北股岳にて。小屋番のYさんも同行

梶川尾根と扇の地神。

日本海に沈む夕日、静かな静かな時間。
避難小屋での2回の夜、2回の朝、食事と酒の時間。


春の風物詩、幾多ものクラック

最後に彩りを添えるイワウチワ、早春の花
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下山した時の充足感に満ちる山だった。
これは目的の山のピークを踏んだ以外に、
山で生活して山の空気に溶け込んだから。

お天気、メンバーにも恵まれ、最高の北飯豊山行になりました。
北飯豊の会、参加メンバーの皆様、ありがとうございました。

2024年4月6~8日